2008年2月13日

「赤線地帯」

溝口健二の『赤線地帯』を久しぶりに観た。世界に名の誇る名監督、例えば黒澤、小津、成瀬などがいるが、その中では溝口が最高だ。

この『赤線地帯』は世界的に評判がいいわけじゃない。海外の人は溝口のジャポニズムに魅了される。でも僕はこの作品が大好きだ。リアルタイムで赤線廃止の状況下に撮影されとてもセンセーショナルだ。誰といって主役がいず、これまでとは違い長回し撮影もなく赤線廃止までを刻々とえぐりだしていく。

これまでとは違う溝口の新境地だが、これが遺作になってしまう。ラストシーンがなんとも、遺作とは思えない初々しい儚さで終わる。